2008年8月1日金曜日

身体全体に広がる痛み

首を含む脊椎のまんなかにはトンネル状の穴があり、この内側を生命維持に関係する大事な神経=脊髄神経が通っています。
疾患や組織の異変によってこの脊柱管が押さえ付けされると強い痛みが発生するのです。
元々構造上脊柱管が細くなっているので狭くなり、脊髄がきつくなっている人がいます。
このような人は、小さな圧迫刺激であっても脊髄が押され、痛みを強く感じ、慢性化しやすいです。
脊髄部分では、脊髄から8対の細い神経が派生して身体全体に伸びています。
また、首から下の、胸椎や腰椎でも脊髄は同じように派生しています。
このように身体全体に広がる末梢神経は、元をたどると同じ脊髄から分かれたものです。
このため首に異変が起こり、脊髄が刺激されると、その情報は末梢神経の広がる部分すべてに伝わります。
肩や腕、指先、背中に限らず、下肢にまで神経痛があらわれることがあります。

2008年6月19日木曜日

後縦靭帯骨化症からくる肩の痛み

後縦靭帯は脊椎の椎体後縁に沿って縦走する靭帯です。
後縦靭帯骨化症は、脊椎同士の連なりを補強している靭帯のうち、後縦靭帯という部分が何らかの病気で骨化して厚みを増し、脊髄や神経根を圧迫するものです。
主に中年以降に発病し、糖尿病の人がかかりやすいという特徴があります。
治療には保存的治療と手術療法があります。
首や肩に痛みが起こる原因は、同じく脊髄への圧迫刺激なので、骨化して肥大した部分を手術によって取り除けば痛みはなくなります。
重症になると首や肩の痛みだけでなく、腕や神経障害が深刻になり、歩行困難などの麻痺状態があらわれることもあります。
靭帯の骨化は頸椎だけでなく、胸椎や腰椎にも起こります。
他に後縦靭帯以外にも、黄色靭帯にも起こります。
このように靭帯が骨化してしまう症状をまとめて脊柱靭帯骨化症といいます。

2008年5月31日土曜日

頸部椎間板ヘルニアからくる肩の痛み

脊椎間の椎間板の年齢的衰えが進むと「頸部椎間板ヘルニア」を起こすことがあります。
頸部椎間板ヘルニアは首や肩のこりや痛みを伴います。
ヘルニアとは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から脱出した状態を指す言葉です。
椎間板の中身が飛び出してしまう椎間板ヘルニアは、首だけでなく胸部、腰部の脊椎でも起こります。
椎間板が年齢的衰え始めると、水分量が減って柔軟性が失われていきます。
椎間板の外側を覆う線維輪や神経根を圧迫刺激して、肩や首に痛みが生じます。
特にヘルニアは後方に飛び出しやすく、首を後ろに傾けたときにヘルニアが押し出されると、圧迫が強まって強い痛みとなります。
痛みや痺れは首や肩だけでなく、腕から指先にかけてもあらわれ、重症になると下半身にまで広がります。
このような自覚症状が出たら、早期に医療機関を受診してください。
治療には、牽引療法や装具療法、内服薬が用いられます。
症状が軽い場合、通院で可能ですが、進行したときは安静が必要のため入院することになります。

2008年4月16日水曜日

変形性頸椎症からくる肩の痛み

首の年齢的衰えで、頸椎の椎間板や関節の変形した病気が「変形性頸椎症」です。
脊椎の変形で骨の表面に棘のような突起ができますが、この棘(骨棘)が脊椎の背中側にできると、脊髄や神経根と血管が圧迫刺激を受けます。
骨棘が小さければ圧迫刺激も弱いので、肩がこるといった程度です。
病状が進むと、首や肩の痛みや痺れ、脱力感を感じるようになり、後頭部に痛みが発生します。
また、脊椎動脈を圧迫すると血の巡りが悪くなり、肩こりどころでなく、脳への栄養補給に差し障ると、脳が貧血症となり目眩が起きます。
さらに病状が進行すると、巨大化した骨棘が脊髄を圧迫刺激するようになり、下肢の歩行障害、腱反射亢進などが現れ、便秘、排尿障害の様な膀胱・直腸の障害を引き起こします。
治療は保存療法が中心となり、薬物療法としては非ステロイド性消炎剤が有効です。
理学療法は温熱、頸椎牽引、低周波、レーザー治療などがあります。
首と肩の筋肉の緊張を和らげることが不可欠です。

2008年4月8日火曜日

首の疾患からくる肩の痛み

首の疾患も、肩こりや肩の痛みの原因になります。
代表的な疾病は、「変形性頸椎症」「頸部椎間板ヘルニア」「後縦靭帯骨化症」の3つです。
このうち変形性頸椎症と頸部椎間板ヘルニアは、年齢的衰えに関与します。
体は二十歳を過ぎたころからじょじょに衰え始めますが、首も例外ではありません。
年齢的衰えが最も顕著なのが、脊椎の間にある椎間板です。
椎間板は年齢的衰えによってどんどん水分量が減っていくと、外側を覆っている線維輪の柔軟性がなくなり、傷つきやすくなります。
こうした変化が始まると首の安定性が悪くなり、首筋や肩がこりやすくなります。
また、椎間板の水分が減り厚みがなくなると、重なり合う脊椎の隙間がしだいに狭まるり、やがて骨同士が摺れ合い、変形してしまいます。
椎間板と脊椎に起こる年齢的衰えが、肩や首のこりの引き金となる変形性頸椎症と頸部椎間板ヘルニアを引き起こすのです。